第弐拾壱話・第21話 ネルフ、誕生

ビデオフォーマット版で追加された冬月のシーン

 愛知県のバラック船の中で冬月先生が医者になってるシーンがあります。このシーンは今まで見たことがなかったのでビックリしました。もぐりの医者で住民を助けているのですが、南極調査に赴くよう誘われます。爆心地の資料のシーンも追加。記者会見の写真の中央に移っているのがキール議長とされています。

 また、碇ユイと冬月の再開シーン、「あの悲劇をもう一度起こすつもりかね、君たちは」と非難するシーンなども新たに追加されています。12年目にして新しい未公開シーンを見たので痺れました。限定版のDVD−BOX買ったとき全部見てなかったって事だろうなぁ。

 湖を前にしたユイとの会話のシーンで、暫くためて、躊躇いがちいユイを見る冬月のユイに対する想いがもどかしいですねぇ。40代後半と20代の恋。この回は他に赤木ナオコとゲンドウとの関係も描かれていて、ちょっとオトナです。

 フィルムブックの表紙のユイ、ゲンドウ、冬月の3人の写真のシーンも追加。これはいつもはお堅い感じのする冬月が、かなりリラックスした戯けた調子で碇ユイの座っているパイプ椅子に寄りかかるようにして立っているイラストですが、意外な冬月の一面です。冬月コウゾウのモデルは声優を担当している清川元夢です。でもビバリーヒルズ青春白書に出てたディラン・マッケイやジェームズ・ディーンにも似てなくもありません。若い頃の冬月はディランやジェームズ・ディーンにソックリで、結構モテてたかもしれないと妄想してみるのですが、大学教授との居酒屋での会話で、「君は人との付き合い方を知らん」と言われてるので、案外シンジ君と似たような性格で、孤独を好み、女に対しては内気な方だったのでしょうか。

 今回はリツコの母の赤木ナオコも初登場します。並んで会話する場面があるのですが、リツコの太い眉毛は母親の遺伝ではないみたいです。

 加持と共に冬月が拉致現場から出てくるシーンも追加。アダムを横流しした事を詫びる意味でも開放を手助け。

 ラストで、加持が死んだことを知ったミサトが号泣します。大学時代からの恋人が死んでしまったことで、本編で初めてミサトが感情を爆発させて泣くシーン。始めはつっけんどんだったけれど、よりが戻った後に死なれてしまって、やっぱり加持への思いが強かったのかなぁ。


加持リョウジを殺した犯人

 加持を殺した犯人ですが、最初はミサトが解放される際の諜報部との会話で、加持について尋ねたときに「存じません」という諜報部のセリフが、何か含みを持たせている響きがあったので、諜報部が殺したのかなと漠然と思っていたのですが、加持が射殺された次のシーンに、いきなりミサトが脱力気味でマンションに戻ってくるシーンがあるので、まさかミサト自身が手を下したのかと疑ってました。後にmixiで、ミサト犯人説について聞かれたときに、「そういう見方も出来ますね」とスタッフの人が言ったらしいので、ああミサトじゃないのかと。

 またややっこしいシーンの持ってきかたしてるんだよなぁ。ああいうシーンの作りだったらミサトが殺したみたいに見えるじゃないですか。当初見たときは、ただ加持がこの回で殺されるということにドラマの重点を置いていて、誰が犯人かも、犯人の意図もどうでもイイという感じに受け取ってましたので、それ以上は深く詮索することもなく10年以上が過ぎていったわけですが、最近販売されたエヴァのゲームで、犯人はネルフ諜報部ということになっているらしいです。何とも謎じみたシーンでしたが、単純な種明かしでした。

 貞本義行の漫画版では、シルエットの髪や襟がリツコっぽいんですよね。愛するゲンドウの命令に忠実に従ったのでしょうか。

 最後にシンジ君のモノローグが入るところも、今までのストーリーの雰囲気と違っていて、イイですね。随所随所でいろんなドラマ手法のいいとこ取りしてる感じで、興奮冷めやらないといった感じです。この回からラストにかけて、ストーリーは一気にクライマックスに突入します。

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NEON GENESIS EVANGELION vol.06
出演:緒方恵美、三石琴乃、林原めぐみ、宮村優子
監督:庵野秀明
形式:Color, Dolby
言語:日本語
リージョンコード:リージョン2
販売元:キングレコード
発売日:2003/9/26
時間:95 分

セカンドインパクトの謎を追い、東奔西走する冬月コウゾウ

今回のストーリーは冬月コウゾウの独断場。セカンドインパクトの謎を追い、若い頃の(といっても40代後半の)冬月が東奔西走する。碇ユイとの微妙な関係や、彼女に対する淡い恋心などもそれとなく示唆されている。ビデオフォーマット版では、様々なカットが追加され、冬月の魅力がより一層膨らんでいる。

MAGIシステム開発の功労者である赤木ナオコ博士の娘、赤木リツコ博士

英語サブタイトルの oral stage は、精神分析用語で口唇期の意味。シナリオでは、赤木ナオコが自殺後に、レイは息を吹き返して何事もなかったかのように歩いていくという設定になっていたが、カットされた。後の「涙」で、「私は多分3人目」というレイのセリフがあるが、一人目のレイはこの時赤木ナオコに絞め殺された5歳の時のレイということになる。

また、2002年の日本は、セカンドインパクトの崩壊から未だ立ち直れず、バラックの家でユイが赤ん坊のシンジをあやしているシーンが予定されていた。なお、加持を殺した犯人は、2007年に発売されたゲーム「シークレット・オブ・エヴァンゲリオン」で明らかにされている。

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『エヴァとの思い出』

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