庵野監督自身は、レイには何の思い入れもないと「パラノ・エヴァンゲリオン」のインタビューで語っています。第6話でレイとシンジのコミュニケーションを完成させたのも早すぎた。あのシーンを出しちゃったら、この後レイとシンジを描く要素が何にもなくなってしまうと。実際にその後庵野監督はレイのことを忘れていたそうで、第7話ではうっかり忘れて1カット、第8話には1カットもレイが出てきません。久々に見返してみて、そういえばレイ出てこないな〜と思ってたら、こういう事情があったんですね。
確かに第6話でレイの「あなたは死なないわ、私が守るもの」のセリフと、シンジの「笑えばいいと思うよ」であの笑顔を出してこられたら、この後レイとシンジの関係をこれ以上どう盛り上げるんだろうと、出すの早すぎの感もありました。アレ、第6回なのにもう山場?みたいな。
ただ、前作のナディアの時も、第6回で、ネオ・アトランティスにさらわれたナディアを、ジャン、グランディス一家、ノーチラス号が奪還するという派手派手しいクライマックスを演じていますので、それを踏襲したのかもしれません。
ナディアの前例があったので、ここから先はナディアの時と同じようにドタバタ喜劇でストーリーが進んでいくのかなぁと納得してしまいました。結局その後のレイは、消えてなくなってしまいます。
今たまたま第7話後の二次小説を書いてるのですが、ああそうかやっぱりアソコであのシーンを出すのは早すぎるよな〜と、自分でもレイとシンジの話を書いていて、第6話であんなコミュニケーション演じられたら、もうそこでレイとシンジの話はハッピーエンドで完結してしまっているから、書き辛いなと実感しています。また第6話以前のレイの冷たい性格に戻さなきゃいけないのかと。
庵野監督はレイに思い入れはないと語っていますが、余計な感情を入れなかったから、あの透明感溢れるイメージで、大勢のアニメファンを惹きつけたのかも知れません。まさにリツコが語ったように透き通った水のイメージです。同人作家の野火ノビタが、レインの「好き好き大好き」や「引き裂かれた自己」を引き合いに出して、レイを分裂症の観点から論じているのも興味深いところです。
以降の回で、再びレイに関する分裂症的イメージの連続が出てくるのですが、その点に関しては、またその折に触れたいと思います。
NEON GENESIS EVANGELION vol.02
出演:緒方恵美、三石琴乃、林原めぐみ、宮村優子
監督:庵野秀明
形式:Color, Dolby
言語:日本語
リージョンコード:リージョン2
販売元:キングレコード
発売日:2003/7/24
時間:100 分